2008年10月26日

迷宮15階。VS.スキュレー。

気が付けば、朝になっていた。
迷宮は時間がわかりづらくて困る。
疲れているのだろうか?
暫く、休息を取っていた私たちは、
銘々の装備をチェックしながら立ち上がった。

迷宮15階。
氷に覆い尽くされた、寒さの世界。

かじかむ手に息を吹きかけて、温める。
ガントレットを手入れしているアルケミストが、傍らにいる。
メディックは、なにやらバッグの中をごそごそやっている。
霜の付いた剣を丁寧にぬぐっているのは、ソードマン。
各自が、自分の役割をきちんとわかっている。
私も、弓の弦を点検した。
凍り付いて、引き絞った時に切れでもしたら大変だ。

この、大きな氷の湖の向こう。
そこに、氷姫スキュレーがいる。
恨みはない。
だけど、戦わなくてはならない。
これは私たち、迷宮の冒険者に与えられる試練。
他の冒険者に害を与える者。
迷宮探索の障害となる者。
それらは、排除される運命にある。
繰り返すけれど、恨みはない。
でも、それは私たちの使命。
(ごめんなさい。)
私は、アーテリンデに伝えられなかった言葉を呑み込む。

ピシリ、と鞭が呻った。
氷の固さを確認しているようだ。

「さて、出発しようか。」

そう言ったダークハンターは、
もう前しか向いていなかった。
私は、昼間でも薄明かりの冷たい世界を見渡した。
行こう。
正直、疲れは取れてないけれど。
でも、戦える。
だから、進む。
合図もなく、全員が氷上へと足を向けた。

滑る。
進む。
滑る。
方向を変える。
滑り進む。

そして、対峙する。
この階層の主、スキュレーと。
そして、無言で戦いは始まった。

弓弦が冷たい。
私は天に向けて、矢羽根を弾いた。
戦い前にアクセラを呷っていたダークハンターが、
一気に縛りにかかる。
剣士は斧を振り下ろす。
一撃を浴びて、瀕死の傷を負ったアルケミスト。
それでも複雑な術式を編んでいた彼の掌から、
眩いばかりの光が、轟音と共に突き進む。
あれは核熱の術式。
すかさずメディックが、治療にかかる。
私はそれが早く済むよう、
彼女を最優先で動けるよう補助する。

二撃目。
振りかざした斧ごと、剣士が斃れた。
術士の治療を終えた医女が、慌てて走る。
私は氷姫から目を逸らせない。
守るばかりでは、勝てないから。
敵に情けは不要。
憐れみは、自らを滅ぼす。
早業で、二発叩き込む。
斧や術式に比べたら大したダメージにはならないけれど、
それでも、有効の攻撃には違いない。
削る。
出来るだけ早く終わらせるために。
長く苦しめるのは偲びない。
長引けば、その分、こちらも危なくなる。
二発目の核熱が起術した。

まだだ。
まだ、氷姫は斃れない。
起き上がったソードマンが、斧を正面に構えなおした。
ダークハンターが、アクセラを呷っている。
もう一度、弓を二射。
そして、天から降りそそぐ攻撃。
攻撃は続く。
私たちはボロボロになりながら、向かっていく。
スキュレーも、対抗して向かってくる。
双方、傷だらけになりながら、戦いは続く。
もう少し。
あと、もう少し。

攻撃を受けたメディックを助け起こそうとしたダークハンターが、諸共の攻撃を受けて斃れる。
私とソードマンで、手当をする。
そして、必殺の核熱・・・・!!



スキュレーは、哀しそうに頽れた。



終わった。
戦いは激しかったけれども、
この氷の世界は、それに気付かないように閑かだ。
見上げた頭上。
そこだけが、戦いの痕を物語る。
熔けた樹氷の暖かい雫が、氷の床を濡らすように滴り落ちていた。


posted by @こまこ at 16:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界樹の迷宮2(第3階層)日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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